研究概要 |
本研究では初めにプラスミドDNAをネブライザー、人工呼吸器を用いて経気道的に導入できるか否かを検討した。ラットを気管切開し人工呼吸器に接続、遺伝子導入条件を検討するためにマーカー遺伝子のpCAGGS-luciferazeを250μg(総量500μl)気道より投与し、一回換気量(TV=10、30、40ml/kg)、PEEP(P=0、5、10、20cmH20)、換気回数(f=20、40、60、90回/分)、人工呼吸時問(T=0.5、2、5、10分)の各条件下で人工呼吸換気を行った。24時間後に肺を摘出しルミノメーターを使用してluciferaseを定量した結果、pCAGGS-luciferazeを気道投与し人工呼吸器換気を行わなかった群は1,180±705 RUL/100μg protainであるのに対して、人工呼吸換気を行った群(TV=30ml/kg、PEEP=10cmH20、f=60回/分)では1,1721,438±745,507 RUL/100μg protainと発現量は著しく増加した。また、遺伝子が導入された局在を評価するためにpCAGGS-lacZを同条件下に気道内投与しX-gal染色を行ったところ、散在性に肺胞上皮細胞が強陽性に染色された。 次に2つの肺障害モデルを用いて遺伝子導入による治療効果を検討した。 (1)ブレオマイシンを気道内投与し肺の線維化モデルを作製した。このモデルに対して線維化を抑制するHepatocyte growth factor(HGF)遺伝子を導入しその効果を検討したが、遺伝子導入で組織像は改善傾向であったが、統計学的有為差は認められなかった。一方で、肺障害モデルに対して人工呼吸換気を行うと死亡率が高くなった。 (2)LPS静脈内投与による肺障害を作成し、サイトカインの変化を解析した。IL-10レベルが高い個体では肺障害が軽減されてることからIL-10導入による治療を予定している。
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