エピガロカテキンガレート添加保存液による気管移植の研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13671381
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 長谷川 誠紀 京都大学, 医学研究科, 講師 (10252438)
• 研究分担者: 和田 洋巳 京都大学, 医学研究科, 教授 (90167205) ; 玄 丞烋 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (90283655)
• キーワード: 気管移植 / ポリフェノール / エピガロカテキンガレード / 臓器保存 / 気管腫瘍 / 気管狭容

研究概要

我々は以的より大型動物による実験で気管の冷凍保存およぴその移植の技術をほぽ確立している。しかし実際の臨床気管移植が普及するためには、特殊なフリザーなどを必要としない、一般病院でも使用可能な保存手段を開発することが必須である。今回の研究は、抗菌作用、抗酸化作用、細胞機能を休止させる作用を有すると言われるポリフェノールを使用した保存液により簡便安価に保存が可能かどうか、あわせて、免疫原性がなくなり移植可能かどうかを検討する。
予備的実験1 至適温度と保存液
Wisterラット、体重250-300gを用いて実験を行った。頚部気管を10リンゲ切除摘出し、これをポリフェノール(Epigallocatechin gallate O.1mg/1、)添加ET-K保存液にて保存した。室温保存群(n=3)では数日で組織の黄染を来した。一方、4℃保存群(n=3)では4週間まで肉眼的な変性を認めなかった。以上により、保存は以下の液を用いて行うこととした。
Na (mmol/L) 100
K (mmol/L) 44
Gluconate (mmol/L) 100
Phosphate (mmol/L) 25
Trehalose (mmol/L) 41
Hydroxyethy starch (mmol/L) 30
Epigallocatechin gallate (mmol/L) 0.1
予備的実験2 ラット気管移植モデルの確立
腹腔内pentobarbital(30mg/kg)注射にて鎮静後、自発呼吸下に16ゲージエラスター針外筒を気管内挿管。頸部気管5リングを切除し、これをZeiss社製手術用顕微鏡下に7-0プロリン糸数針による単結節縫合にて同部に自家移植。
以上の手術手技を確立中.近日、同種気管移植慢性モデル作成を開始する。

研究成果

• [文献書誌] Sato M, Hasegawa S, Wada H: "Tracheobronchoplasty for resection of lung cancer arising"Ann Thorac Sung. 73. 310-312 (2002)
• [文献書誌] Hasegawa S, Wada H, et al.: "The inadvisability of thoracoscopic lung biopsy"Chest. (accepted).
• [文献書誌] Yoshimura T, Hasegawa S, Wada H, et al.: "A novel sectin blocker alleviates"J Surg Res. 101. 91-98 (2001)
• [文献書誌] Ueda M, Hasegawa S, Wada H: "Effects of dibuty lyl cyclic adenosine monophosphosphate"Eur Surg Res. 32. 289-296 (2000)
• [文献書誌] Omasa M, Hasegawa S, Wada H: "A case of repetitive intrapleural cancer chemotherapy"Thorac Cardiovasc Surg. 49. 233-235 (2001)
• [文献書誌] Fukuse T, Wada H, et al.: "Optimal alveolar oxygen concentration for cold storage of the lung"Transplantation. 72. 300-304 (2001)