研究概要 |
[mouse肺虚血再灌流実験1]PLA_2IIAのあるmouse(BALB/c〕と先天的に欠除しているmouse(C57BL/6)を用い1時間の虚血後1,3,6時間でのBALF中PLA_2IB濃度(ELISA法)と活性(ADAM法)を測定した。これらの群では変化を認めなかった。 [mouse肺虚血再灌流実験2]そこで同動物を用い1時間の虚血後1,3,5日でのBALF中PLA_2IB濃度とPLA_2活性を測定した。BALB/cにおいてBALF中PLA_2IB濃度および活性はパラレルに変化し術後1日目に46倍に増加した後減少し術後5日目には術前とほぼ等しい値になった。動脈血酸素分圧はPLA_2活性が最も上がった1日目に最も低くPLA_2活性の低下とともに改善した。このPLA_2活性を抗PLA_2IB抗体で特異的に阻害すると約90%活性が阻害されBALF中のリン脂質分解活性は今までいわれていたPLA_2IIAによるものではなく、ほとんとがPLA_2IBによるものであることがわかった。C57BL/6においても上昇率は2.6倍とやや低いもののPLA_2IB濃度とPLA_2活性は同様の推移をたとりPLA2IIAの有無にかかわらずリン脂質分解活性は変動した。BALF中のサーファクタント(リン脂質)の含有量及び組成の変化を検討している。今後、臨床肺移植症例におけるPLA_2とsurfactantの変性、PLA2-IB産生に関与するサイトカインの影響、PLA2-IBの阻害による肺障害冶療への可能性を検討していく予定である。
|