研究概要 |
術前に十分な説明を行い文章で承諾書をいただいた非小細胞癌の切除症例について、その切除検体の一部を用いて抗癌剤感受性試験(CDDST法)を行った。また同一の検体の一部を手術室で摘出後即座にOCTに抱埋して凍結保存した。この凍結検体をLASER captured microdissectionを行って肺癌組織中の癌細胞の部分だけを摘出し、そこからRNAを抽出してマイクロアレイ法を行った。測定結果、臨床データ双方のvalidationをさらに行い、平成14年度は52例の非小細胞肺癌患者のExpression Profilingを作成としたが、評価が十分可能な症例を絞り込み37例について、最終的に各種データに対するExpression Profilingを作成した。この検討に供した症例の内訳は扁平上皮癌14例、腺癌22例、腺扁平上皮癌1例である。 この結果同じ非小細胞肺癌でも腺癌と扁平上皮癌ではexpression profileが異なり、マイクロアレイ上で両者の違いが表現されることが示された。また腺癌の22例に絞ってリンパ節転移のあるものと無いものを分けて検討するとそのexpression profileの違いを示すことができた。このことは今後症例を更に蓄積すれば、原発巣の遺伝子情報からリンパ節転移の有無を推定することを可能にするものと考えられる。 現行の非小細胞肺癌治療に標準的に用いられる6種類の抗癌剤(CDDP, DOC, PAC, NVB, GEM, CPT-11)に対して上記の37例でCDDST法を用いた抗癌剤感受性試験を行った。その結果と遺伝子発現の関係についてClustering analysisを行い、各抗癌剤の感受性に関係すると思われる遺伝子の絞り込みと各遺伝子の重み付けを行った。 さらに臨床データとして喫煙歴、最終病理診断、予後の追跡等を行い、遺伝子発現の関係についてClustering analysisを行っていた。
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