研究概要 |
非小細胞癌の切除症例について、抗癌剤感受性試験(CDDST法)とLASER captured microdissectionを行って肺癌組織中の癌細胞の部分だけを摘出し、そこからRNAを抽出してマイクロアレイ法を行った。測定結果、臨床データ双方のvalidationをさらに行い、評価が十分可能な症例を絞り込み37例について、最終的に各種データに対するExpression Profilingを作成した。この検討に供した症例の内訳は扁平上皮癌14例、腺癌22例、腺扁平上皮癌1例である。 この結果同じ非小細胞肺癌でも腺癌と扁平上皮癌ではexpression profileが異なり、マイクロアレイ上で両者の違いが表現されることが示された。また腺癌の22例に絞ってリンパ節転移のあるものと無いものを分けて検討するとそのexpression profileの違いを示すことができた。このことは今後症例を更に蓄積すれば、原発巣の遺伝子情報からリンパ節転移の有無を推定することを可能にするものと考えられる。 現行の非小細胞肺癌治療に標準的に用いられる6種類の抗癌剤(CDDP, DOC, PAC, NVB, GEM, CPT-11)に対して上記の37例でCDDST法を用いた抗癌剤感受性試験を行った。その結果と遺伝子発現の関係についてClustering analysisを行い、各抗癌剤の感受性に関係すると思われる遺伝子の絞り込みと各遺伝子の重み付けを行った。結果として各抗癌剤について腺癌と扁平上皮癌に分けて、その感受性に強く相関する遺伝子を20遺伝子程度ずつ抽出した。これらの遺伝子については報告書に記載した。
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