雑種成犬を用いて、心房高頻度ペーシングと鎖骨下動脈肺動脈短絡による左房容量負荷の心房細動発生に対する効果を検討した。まず、刺激周期100msの心房高頻度ペーシングだけを行ったが、4週間までの観察期間で心房細動への移行は認められなかった。続いて、鎖骨下動脈肺動脈短絡術による左房容量負荷を行い、さらに1週間後より刺激周期100msの心房高頻度ペーシングを開始するようにプロトコールを変更した。高頻度ペーシング開始1週間後では、ペーシング中止後に数心拍の心房反復性興奮が認められ、2週間後では、心房反復性興奮が数秒間持続した。さらに経時的に経過を観察したところ、高頻度ペーシング開始4週間後では、ペーシング中止後に持続性心房細動が数十分間維持された。また、左心房は容量負荷のために拡大傾向を認めた。 以上の結果より、心房高頻度ペーシングと鎖骨下動脈肺動脈短絡による左房容量負荷モデルでは、モデル作成約4週で持続性心房細動の出現が得られることが明らかとなった。次年度では、作成された心房細動の電気生理学的機序を詳細に調べる予定である。
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