研究概要 |
human IL-2cDNA, murineIL-4cDNA, およびmirine GM-CSFcDNAをレトロウイルスベクター(LXSN)のBamHI切断部に挿入し、これを用いてラット脳腫瘍細胞 9L-gliosarcoma(9L)およびマウス神経芽細胞種CI300にIL-2遺伝子,IL-4遺伝子およびGM-CSF遺伝子を導入した。ラット脳腫瘍モデルを作製し、生着3日後にこれらの細胞を脳内移植するとともに放射線照射した9L細胞による皮下免疫を行い、その治療効果をMRIにて経時的に観察した。IL-2産生細胞移植では半数のラットで治癒が確認されたが、IL-4、GM-CSF産生細胞移植では軽度の増殖抑制効果にとどまった。皮下免疫を併用しない場合、syngeneicな9L細胞を用いると髄腔内播種が高率に観察され、脳内移植にはxenogeneicあるいはallogeneicな細胞が安全性の面で優れていると考えられた。これらの結果より、神経前駆細胞の導入するサイトカインとして、IL-2が最適であり、神経前駆細胞の供給源として異種あるいは同種の固体由来が適していると判断された。 手術時に得られたヒト脳室近傍組織より、FGF、EGFおよびNSFを含む培地にて神経前駆細胞を分離した。神経前駆細胞はPEIでコートしたプレート上でspheroidを形成し蛍光抗体色素法によりBeta Tubulin III、MAP-2、GFAPが陽性であったが、継代によりspheroidを形成率が著しく低下し、現在のところサイトカインおよびHSV-tk遺伝子導入に成功していない。
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