研究課題/領域番号 |
13671429
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
篠田 淳 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50273131)
|
研究分担者 |
中島 茂 岐阜大学, 医学部, 教授 (60188935)
坂井 昇 岐阜大学, 医学部, 教授 (10021487)
郭 泰彦 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (90242718)
|
キーワード | グリオーマ細胞 / 分化 / セリンプロテアーゼ / 補体C1s / サイクリックAMP / スタウロスポリン / S100タンパク質 / リポフェクション |
研究概要 |
1.C6グリオーマ細胞を細胞内cyclic AMPを増加させる薬剤(dibutyryl cyclic AMP+theophylline)やstaurosporineなどで分化誘導すると、細胞内でr-Gspタンパク質が産生されmedium中に分泌されることをウエスタンプロット法で確認した。この時、グリアの分化マーカーであるS100タンパク質も増加傾向を示した。 2.出生後のラットの小脳や脳幹で、r-Gspタンパク質が経時的に増加することを確認し、同時にグリアの分化マーカーであるGFAPタンパク質も増加傾向を示した。 3.r-gsp cDNAをpIRES2-EGFPベクターに組み込み、リポフェクション法でC6グリオーマ細胞に遺伝子導入し、G418で抵抗株を選別し安定株を作成した。遺伝子導入株ではr-Gspタンパク質が過剰に発現したが、位相差顕微鏡におけるアストロサイト様形態変化や、MTTアッセイ上の増殖能の低下、S100タンパク質の発現増加といった分化を示唆する変化を認めなかった。 4.r-Gspタンパク質はラットの補体C1sと考えられることから、補体C1rにより分解されると予測され、実際に、ヒト活性型補体C1rにより経濃度的に分解された。 以上のことから、C6グリオーマ細胞は分化誘導時に補体C1sと推測されるr-Gspタンパク質を産生、分泌することがタンパクレベルで確認された。しかし、r-gsp遺伝子を過剰発現させてもそれだけではC6グリオーマ細胞を分化誘導させることができなかった。R-Gspタンパク質は、周囲のマトリックスタンパク質を分解することで突起の伸張に関与していることが推測され、プロテアーゼとしての機能をゼラチンザイモグラフィーや合成ペプチド基質を用いてさらに検討中である。
|