【目的】骨髄中に存在するstromal cellは、非造血系細胞の幹細胞としての機能が注目されており、少数は神経系細胞への分化能を有するとされる。前回、回転培地を用いて効果的にstromal cellを回収する方法を発表したが、今回は、パーコールを用いる新たな回収法を試みたので報告する。【方法】BrdU tabletを1週間皮下埋没させたAdult S-D rat骨髄より抽出した骨髄細胞をリンパ球分離溶液(d=1.077)中にて分離、赤血球・多核球成分を除去し残った成分を直ちにadult ratの線条体へ移植した。移植後4週で灌流固定し、組織学的に検討ひた。また、同細胞を培養条件を変えてin vitroで分化状態を検討した。【結果】移植後の評価では、従来のstromal cellの分離でえられた細胞よりも、より多くの突起を有する細胞が生着した。コントロールとして移植した骨髄細胞では、赤血球の集積によるホスト脳に二次的な損傷が観察された。In vitroでは無血清bFGF/EGF培地にRAを添加した条件が最も神経細胞様の分化形態を示した。これは、パーコールを用いないdish接着による分離による高効率であった。【結論】パーコールによる分離は、細胞のviabilityを落とすことなくstromal cellを効率良く得ることができ、移植の効果を高める方法として有効と考えられた。
|