T細胞活性化のsecond signalとされるB7.1を産生する遺伝子を導入した腫瘍細胞を用いて脳腫瘍に対するワクチン効果を検討した。 マウスB7.1産生アデノウイルスベクター(AdB7)、β-galactosidase産生アデノウイルスベクター(AdRL)、外来遺伝子を含まないアデノウイルスベクター(Ad0)をC3H/Heマウス由来悪性膠腫細胞RSV-MGにMOI=200で感染させた。各vectorを感染させたRSV-MGおよび非感染RSV-MGをC3H/Heマウスの一側腹部皮下に移植しその造腫瘍性を観察した。また腹部皮下移植2週間後に対側皮下または脳内に非感染RSV-MGを移植してその増殖速度、生存曲線を求めた。免疫学的には脳内腫瘍組織の免疫組織染色にて白血球浸潤、MHC発現を、またCTL assayにて腫瘍特異的CTL誘導の解析を行った。 AdB7感染腫瘍細胞は皮下に腫瘍形成を生じなかった。AdB7感染腫瘍細胞で感作された群では非感染RSV-MGが対側皮下に生着しなかった。組織学的には全群で脳内腫瘍内部および周囲にマクロファージ浸潤を認めた。AdB7感染腫瘍細胞で感作された群ではそれに加えて脳内腫瘍内部および周囲にCD25陽性活性化T細胞を含むTリンパ球優位の浸潤を認め、有意な延命効果を示した。また同群ではCTL assayにて腫瘍特異的CTL誘導を認めた。 以上の結果より、B7.1産生腫瘍細胞を用いた脳腫瘍ワクチン療法は腫瘍特異的CTLを誘導し脳腫瘍発育抑制効果を示す可能性があると結論する。
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