研究課題/領域番号 |
13671438
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
影治 照喜 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (70294684)
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研究分担者 |
中川 義信 国立療養所香川小児病院, 副院長(研究職)
堀口 英久 徳島大学, 医学部, 助手 (40304505)
永廣 信治 徳島大学, 医学部, 教授 (60145315)
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キーワード | BNCT / 悪性神経膠腫 / BSH / BPA |
研究概要 |
平成13年度の実験の目標は、1つにはC6グリオーマモデルでの硼素化合物投与から中性子照射までの至適照射時間の決定であった。まずヨーロッパと日本との共同研究を行い、現在我々が臨床的に使用している硼素化合物BSH(Na2B12H11SH)の薬物動態を求めた。悪性神経膠腫、特に56症例の膠芽腫に対してBSHを頸静脈的に投与して、腫瘍を摘出した。BSH投与からの血中の経時的な硼素濃度と腫瘍組織濃度を個々の症例で測定した。これでは、腫瘍内濃度は血中濃度に比べて緩やかに減衰し、投与開始から12時間で両者の関係は逆転する、すなわち腫瘍内濃度が血中濃度を上回っていた。また、実測値と計算値との関係から投与後12-19時間が最適な中性子照射時期であるとの結論になった。また、C6グリオーマモデルでの抗BSH抗体を用いた免疫染色による実験では、硼素は、経時的に細胞膜から細胞内に移行し細胞核に到達し、その機序は濃度差による拡散と判明した。BPAについては、過去の報告から投与後1-2時間目の中性子照射が最適とされている。また、細胞膜でのイオンチャンネルを介する能動輸送で細胞内に至ると報告されている。以上の結果から、BSHとBPAを併用した場合、中性子照射の12時間前にBSHを投与しておき、照射の2時間前にBSAを投与するのが至適であると考えた。次に、このようにして決定した硼素の投与計画に基づいて、実際にラットグリオーマモデルで中性子を照射して生存期間の算定を行う予定であった。しかし、京都大学原子炉実験所のマシンタイムの関係から、原子炉を使用することが物理的に困難であり、今年度はこの実験は行うことができなかった。
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