研究概要 |
1)ステントによる頭蓋内穿通動脈閉塞の有無:バルーンによる内膜障害により狭窄性病変を作成した家兎腹部大動脈にステント留置を行い、腰動脈閉塞の有無を観察した。1例で腹部大動脈より直角に分岐する腰動脈閉塞を認め、またステント周囲の内膜増殖も正常群に較べて著明であった。動脈硬化性病変と正常血管ではステント留置に伴う内膜の反応はかなり異なると考えられた。 2)臨床例での検討:臨床例では現在まで計31例の頭蓋内動脈にステント留置を行った。閉塞例に対してPTA/stentを行った3例では1例が再閉塞を来し、他の2例は再狭窄を来した。再狭窄の2例はPTAで再拡張できた。また、MRI (diffsuion image)で血栓塞栓による異常信号の出現の有無を調べているが、穿通枝領域や他の部位での異常信号の出現は認められていない。長期の経過観察では1例で再狭窄、1例で完全閉塞を来したが、新たな神経脱落症状を呈したものはない。残り26例では拡張は良好であり、新たなステント留置血管領域の脳虚血症状を認めていないことより、頭蓋内ステントは有効な治療法を考えられる。 3)PVAカバードステント:PVA膜にVEGF, bFGFなどが封入可能かを検討した。漏出してきたbFGF, VEGFはELISAで測定した。bFGF, VEGFともPVA内に封入できることが確認できた。ただ、漏出のピークが24時間と比較的早く、さらに長期の効果を期待するにはさらに工夫を要すると思われる。
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