(目的)HSV-tk/GCVを用いた遺伝子治療と同時に各種のサイトカインを遺伝子導入することによってバイスタンダー効果を増強させる治療研究を行う。 計画(1)HSV-tk/GCVの作用増強。この目的のためにアポトーシス誘導遺伝子であるBim(BH3-only death activator)をウィルスベクターに組み込みそれを感染させて腫瘍にアポトーシスを起こさせ、HSV-tk/GCVの作用を増強させる実験を行っている。すでにアデノウイルスベクターを用いた実験ではHSV-tk/GCVとの相乗効果を認めているが、導入効率を上げるためにAdeno Associate Virus(AAV)を用いた実験を行っている。 IL-12を遺伝子導入させるためのAAVベクター開発はその構築が非常に困難であるが、現在継続してAAVベクター作製途中である。 計画(2)SCIDマウス疑似ヒト環境モデルの作製。SCIDマウスにヒト末梢血の単核球を移植してその生着を観察しているが、マウスに放射線照射を行った後に移植を行うと約2週間でマウスが死亡してしまうため放射線照射なしで移植を行い、その後マウスの末梢血内にヒト単核球を同定するべくFACScanを用いてデータを収集中である。 予備実験としてMCP-1遺伝子導入腫瘍細胞のワクチン接種によるin vivoでの免疫活性動態の研究もヌードマウスで行った。結果はMCP-1遺伝子導入細胞のワクチン接種部位にマクロファージの浸潤が組織学的に確認され免疫賦活ワクチン剤としての可能性を認めた。親細胞に対しての腫瘍増殖抑制効果は認められなかったものの腫瘍サイトへのマクロファージおよびNK細胞の浸潤が認められた。
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