研究課題/領域番号 |
13671460
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
川本 俊樹 獨協医科大学, 医学部, 助手 (50301461)
|
研究分担者 |
朝来野 佳三 獨協医科大学, 医学部, 助手 (00316548)
荻野 雅宏 獨協医科大学, 医学部, 助手 (80224137)
金 彪 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90231290)
|
キーワード | chronic spinal cord compression / central cord injury / neuronal loss / apoptosis / rat / compressive myclopathy / MEP |
研究概要 |
我々はこれまでラット第5、6頚椎椎弓下に膨張性ポリマーを挿入後、ある潜時をもって症状を発現する慢性脊髄圧迫モデルを開発してきた。このモデルでは圧迫開始後9週で脊髄前角細胞が減少してくることが判明している。この9週前後に脊髄減圧を行うことにより、前角細胞の減少前に圧迫を解除した群は、細胞減少後に圧迫を解除する群と比較し有意に症状改善がみられることも判明している(未発表)。 このモデルを用いて脊髄前角細胞の減少する9週以前の固体に対し、頸部の過伸展・過屈曲を加え中心性脊髄損傷モデルの作成を試みている。頸部をゆっくりと過伸展・過屈曲をさせた場合には、下肢にも症状が出現し(いわゆる不完全脊髄損傷)、上肢に症状の強い中心性脊髄損傷とは異なる病態が生じてしまうことが明らかとなっている。したがって、脊髄圧迫病変のある固体に対して、瞬間的なずり応力を加えるため麻酔下に頚椎を露出させ直接頚椎に対してweight drop法を用いて実験を繰り返している。(頸部皮膚外表よりの加力では筋組織等により症状発現のための一定のforceが規定できないためでもある)現在この再現性のあるforceを模索する一方、受傷の際の詳細な頚椎の動きをビデオモニターで撮影し、その動的変化の評価を行っている。また、これらの中心性脊髄損傷を誘発しうるforce、過伸展・過屈曲の程度が確定された後には、さらに脊髄圧迫開始早期、晩期についても症状改善ならびに病理組織学的検討を加えていく予定である。 これまでのc-Fos、c-Junを用いた慢性脊髄圧迫モデルの免疫組織学的検討から、脊髄前角細胞の減少にapoptosisが関係していることが示唆されている。このためapoptosisの有無による中心性脊髄損傷発現の違いについても検討を加えている。 臨床的な検討では、これまで7例の患者に対し急性期脊髄減圧と慢性期脊髄徐圧を行っている。経頭蓋的電気刺激による脊髄誘発電位記録(MEP)を生理学的な指標として症状改善との関係を検討しているが、現時点では症例数がまだ少なく客観的な評価には時期尚早である。これからの症例数増加を期待している。
|