研究概要 |
これまでのイヌくも膜下出血モデルの検討では、脳血管攣縮に一致して脳血管壁で上昇しているのは炎症に関与するcytokineであった。また、これらの産生に関係すると考えられるp38MAPKのinhibitorであるFR167653を、イヌくも膜、下出血モデルで使用すると、脳血管攣縮は有意に抑制された。 今回はこれらの作用機序をくわしく分析するために、ヒト培養平滑筋細胞にhemolysateを作用させ、細胞の遺伝子発現の変化をcDNA microarrayで網羅的にみるとともに、FR167653の作用をRT-PCRを用いて検討した。24時間では、transcription factorやoxidative stressに関与するものが、48時間後および72時間後にはinterleukinやchemokineなど炎症にかかわる遺伝子が、120時間後にはextracellular matrixがup-regulateされていた。これらの経時的変化は、イヌくも膜下出血モデルと一致する結果であった。また、FR167653は炎症に関するIL1β,IL1α,IL8の遺伝子発現の上昇を有意に抑制していたWestern blottingにおいては,hemolysateの投与によりp38MAPKのリン酸化は促進し、FRによって有意に抑制されていた。
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