研究課題/領域番号 |
13671478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
福島 武雄 福岡大学, 医学部, 教授 (10078735)
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研究分担者 |
大城 真也 福岡大学, 医学部, 助手 (40309901)
継 仁 福岡大学, 医学部, 助手 (80279273)
山本 正昭 福岡大学, 医学部, 助教授 (80240125)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ヒト神経膠腫細胞 / 音響化学療法 / フォトフリン / α2MR / LRP / RAP / ローズベンガル / 血液脳関門 / 電子顕微鏡学的研究 |
研究概要 |
音響化学療法耐性脳腫瘍の存在とその機序を明らかにするためα2MR/LRPの発現が異なるヒトグリオーマ腫瘍細胞で検討した。音響化学療法による殺細胞効果は、α2MR/LRPが発現しているU251MG細胞において有意に増強されたのに対し発現のないU105MG細胞では増強効果は少なかった。RAPによりα2MR/LRPの結合を阻害することによりU251MG細胞における音響化学療法の殺細胞増強効果は抑制された。腫瘍細胞の形態変化は、α2MR/LRPが発現しているU251MG細胞において顕著であったのに対して、発現のないU105MG細胞では乏しかった。これらの結果はα2MR/LRPの発現の有無が音響化学療法の治療感受性に関与することを示すものと考えた。音響化学療法の抗腫瘍効果のメカニズムに関して、血液脳関門(BBB)に与える影響を電子顕微鏡を用い組織学的に検討した。超音波照射により辺縁部および中心部で血管周囲に変性した細胞がみられ、神経突起は膨化し、毛細血管内皮細胞の細胞質の膨化、ミトコンドリアの膨化、飲み込み小胞の増加、血管内皮細胞の細胞膜の断裂がみられた。これらの所見は、照射中心においてより高度であった。以上の所見より音響化学療法における血管透過性亢進は、tight junctionの離開ではなく、内皮細胞の細胞膜の断裂、飲み込み小胞の増加が主たるものと考えた。今回の実験で音響化学療法は、直接腫瘍細胞破壊による抗腫瘍効果のみならずBBBが破壊されことにより腫瘍細胞浸潤部への抗癌剤の組織進達度を上げる可能性が示唆された。今後化学療法の有効性を高めることが期待される。
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