研究課題/領域番号 |
13671482
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90167924)
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研究分担者 |
勝木 雅俊 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60271772)
竹光 正和 旭川医科大学, 医学部, 助手 (30312466)
武田 直樹 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80227032)
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キーワード | 神経根 / 坐骨神経痛 / 電気生理学 / 髄核 / 異所性発火 / 間歇性披行 / ラット / 腰部脊柱管狭窄症 |
研究概要 |
間歇性披行は腰部脊柱管狭窄症の特徴的症状であるにもかかわらず、その発現機序は解明されていない。今回、披行時に生ずる下肢異常感覚の起源となる神経根異所性発火を指標として、鬱血および虚血負荷の影響を実験的に検討した。 行動学的に間歇制披行を再現したTakenobuらの方法に準じて、ラット腰椎(L3, L5)硬膜外腔にシリコンラバーを挿入した腰部脊柱管狭窄群を12匹作製した。対照として無処置群6匹を用意した。 異所性発火計測 : 処置後2-3週間にて、動物を除脳・非働化し、Ozawaらの方法に準じて神経根由来の異所性発火を腓腹神経より逆行性に導出記録した。その上で下行大動脈圧迫による虚血負荷(1分間)と下大静脈圧迫による鬱血負荷(1分間)を交互に繰り返し行い、発火頻度の変化を観察した。 無処置対照群の全例では鬱血・虚血のいずれの負荷によっても発火頻度の変化は乏しかった。一方、狭窄群では鬱血および虚血負荷開始後から発火頻度は持続的に漸増し高頻度発火に至るとともに、血管解放後は速やかに元の発火頻度に戻る現象が観察された。このような発火動態は、鬱血・虚血負荷の繰り返しに対応して再現された。また、この現象の発現頻度は狭窄が高度なほど高かった。 神経性間歇性披行については、歩行運動にともなう馬尾・神経根の血行動態変化が何らかの役割を果たすということが推察されてきた。今回腰部脊柱管狭窄動物の半数では、実際に鬱血および虚血負荷に反応する異常な異所性発火パターンが形成されたことを確認した。この発火パターンは以下の点で、間歇性披行と類似する。1. 負荷を加えてから徐々に発現し増強すること。2. 負荷を解除した後速やかに負荷が生ずること。過去の報告において腰部脊柱管狭窄症患者の歩行負荷時に静脈拡張が観察されており、臨床的観点からすると、より低圧で生ずる鬱血の関与が大きいと推察される。 鬱血および虚血負荷と関連する異常な異所性発火の動態は、腰部脊柱管狭窄症における神性間歇性披行の病態と密接に関わっている可能性が示唆された。
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