研究概要 |
前年度にフェノフィブラート(あるいはフェノフィブリン酸)が 1)マウスにおけるAAアミロイドーシスを抑制したこと 2)培養細胞において肝細胞からの血清アミロイドA(以下SAA)蛋白の産生、あるいは単球系細胞からのIL-1,IL-6などの炎症性サイトカインの産生を抑制したことを報告した。フィブラートは核内転写因子peroxisome proliferator activated α(以下PPARα)のactivatorであることから、本年度は上記結果におけるPPARαの関与を明らかにすること、更にフィブラートの他の炎症性疾患への応用の可能性を考え、関節炎における抑制効果を確認することを課題とした。 結果 1)肝細胞及びマクロファージのおけるPPARαの発現をRT-PCR法で確認したところ、肝細胞では多く発現していたが、マクロファージにおける発現は認めなかった。更にSAAやIL-1,IL-6など遺伝子上にはPPAR結合領域(PPRE)が存在しないことより、フィブラートのSAAあるいは炎症性サイトカイン抑制機序にはPPARα-PPREの直接のシグナルではなく、何らかの別の細胞内伝達経路が存在することが示唆された。 2)in vitroにおいて炎症性サイトカインによる肝細胞刺激、あるいはlipopolysaccharideによるマクロファージ刺激ではNF-kB活性が著明に上昇するが、フィブリン酸の添加によりこのNF-kB活性を抑制することをゲルシフトアッセイにて明らかにした。 3)ラットアジュバント関節炎モデルに対しフェノフィブラートの投与を行ったが、明らかな抑制効果を認めなかった。また、ヒトRA滑膜細胞中にPPARαの発現を認めなかった。
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