研究概要 |
human GDNF遺伝子、β-galactosidase遺伝子(LacZ virus)を組み込んだ非増殖型アデノウイルスベクター(AxCAhGDNF, AxCALacZ)をCOS-TPC法で作製した。脊髄損傷モデルは、Wistar Rat(体重400-450g)を用い、脊髄完全損傷モデルを作製した。損傷直後、1分間1μlの速度でtotal 10μlの髄内投与を行った。作製したvectorの生物学的活性はIn Vitroでは、Western Blot解析にてCOS1細胞感染後の上清を調べた。In Vivoでの検討は、まずAxCALacZにおいてベクター発現の局在を観察後、PBS、AxCAhGDNF注入群の両群間で、免疫組織化学的検討を行った。COS1細胞感染後のGDNFの発現は2日以降で認められた。損傷後約2週、4週のGDNF免疫染色では、コントロール(PBS群)に比べニューロンに特に強いimmuno reactivityが観察された。半定量化として行ったWBではPBC群では損傷初期に強い発現を認めたのに対し、AxCAhGDNFでは2週にベクターによる蛋白発現が確認された。損傷後4週のChAT免疫染色では、コリン作動性ニューロンである前角ニューロンにも特に強いimmuno reactivtyが観察された。ニッスル染色では前角部のcell countを行った。AxCAhGDNF群では特に2から4週においてPBS群に比べ有意に細胞数の減少が抑制されていた。今回の検討では損傷脊髄内にアデノウイルスベクターにより導入されたGDNF遺伝子は神経細胞を含む各細胞に高率に導入されていた。残存ニューロン機能維持という観点から、外来遺伝子によるGDNF蛋白発現は神経細胞の生存維持と可塑性に寄与する可能性が実験的に示唆された
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