研究課題/領域番号 |
13671505
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
根尾 昌志 京都大学, 医学研究科, 講師 (80311736)
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研究分担者 |
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
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キーワード | 生体活性セラミック / ハイドロキシアパタイト / b-FGF / マイクロCT / 骨形成 / 血管新生 / 多孔体 / バイオミメティック法 |
研究概要 |
生体活性の高いアパタイト-ウォラストナイト含有ガラスセラミック(AW)の成長因子キャリアーとしての特性を見るために、その70%気孔率多孔体の骨内での吸収過程を観察した。直径4mm、高さ20mmのAW多孔体円柱を日本白色家兎の大腿骨に埋入、1、3、6、12ヵ月で脱灰、非脱灰標本を作成、観察した。同じ気孔率のハイドロキシアパタイト(HA)をコントロールとした。HAはほとんど吸収されなかったが、AWはほぼ直線的に吸収され、約18ヵ月でほとんど吸収されてしまうことがわかった。これは多孔体特有の性質と考えられ、気孔率などの条件を調節することによって吸収期間の調節も可能で、キャリアーとして有望であると推察できた。 次に臨床応用を念頭に置き、生体活性セラミックと成長因子による骨再生実験を行った。当初バイオミメティック法により生体活性因子を含有させたアパタイトコーティング層を形成する予定であった。しかし、予備実験において多孔体の中に均一の厚さを持ったアパタイト層を形成することが困難であったため、FGF溶液を直接多孔体内に陰圧含浸させることとした。日本白色家兎の大腿骨内顆に直径4mm高さ6mmのAW多孔体円柱(気孔率70%)にb-FGF水溶液(円柱1個あたりb-FGF70μg)を含浸させたものを埋入し、骨形成を調べた。術後1、2、3、4週で屠殺し、脱灰及び非脱灰標本、マイクロCTを用いて評価した。b-FGF投与群では、非投与群と比較して、1週目より多孔体孔内に多くの血管の形成がみられ、その後も継続した。脱灰標本では、標本全域を温存したまま切片を作成することが不可能であるため、血管や骨量の定量はできなかった。しかし、マイクロCT像から多孔体内に形成される骨の量を測定してみると、期待されたようなb-FGF使用群と非使用群との間の骨形成量の差は見られなかった。
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