研究概要 |
平成13年度:Wisterラットを使用して筋肉移植モデル(術後1、3、5日、1、2、4、6、8週につき各群3匹ずつ)を作成した。得られた各検体について組織学的評価を行うと同時に2,4,6週モデルでは屠殺の前に針筋電図を行い筋肉の神経回復について検討した。その結果移植筋(下腿三頭筋)のM波は術後4週モデルから出現しており、本実験モデルにおける神経回復の時期は術後2〜4週であることが分かった。肉眼所見および組織学的所見でも術後5週以降に筋萎縮が改善されていた。 平成14年度:次いで各群の検体について組織学的評価(HE染色)、PCNA染色、RT-PCRによるb-FGF遺伝子の解析を行った。(組織学的評価)移植翌日には筋衛生細胞の核の増加が認められ、以後核数は徐々に減少し筋線維も萎縮を認めた。術後4週にはさらに筋線維の萎縮が進行していたが、細胞の核数は再び増加していた。6週になると筋線維の肥大が認められた。(PCNA染色)術後1日目よりPCNA陽性細胞が出現していた。その後は、術後1週目ころから徐々に陽性細胞が減少する傾向にあったが、5週の時点でも僅かながら認められた。(RT-PCR)b-FGFの発現について遺伝子解析を行った。検体各群で多少のバラツキが認められたが、術後1日のモデルにてb-FGFの発現の増加が認められ、以後経時的に減少し術後5週以降に再び増加を示す傾向にあった。 以上の結果を総括すると本実験モデルの移植筋組織においては、当初の予想通り筋衛生細胞の増加が術後早期より認められ術後5週の時点まで漸減しながらも継続していることが判明した。またb-FGFの継時的変化については明らかな一定の傾向は認められなかったが、術後早期と神経回復時期の2回に亘って二峰性に増加する傾向を示した。以上の結果については第29回日本マイクロサージャリー学会(沖縄、宜野湾市)において発表した。
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