1. アデノウィルスベクターを介したFGF2の関節滑膜組織への導入と欠損骨軟骨に対する遺伝子治療の試み:アデノウィルスを介したFGF2のラット膝関節への導入が確認された。またアデノウィルス静脈内投与で血清中にFGF2の上昇が認められた。関節軟骨欠損モデルに対する遺伝子治療を用いた修復の試みは、ラット膝蓋大腿関節に骨軟骨欠損モデルを作製し、遺伝子導入しその発言と関節軟骨修偵の関係について検討した。ベクターにはFGF2組み替えアデノウイルベクター(AdCAsFGF-2)とコントロールアデノウィルスベクター(AxCAEGFP)を用いた。関節局所の投与ではAdCAsFGF-2による炎症反応が強く、FGF2発現と組織修復性との関連が明らかではなかったため、静脈内投与を行なった。その結果、AdCAsFGF-2投与群では欠損翠節軟骨の修復傾向が認められた。 2. IL-4のメカニカルストレスに対する軟骨保護効果:ラット培養軟骨細胞を用いて、機械的過刺激に対するIL-4の軟骨保護効果を検討した結果、in vitroでIL4による軟骨基質合成保持効果が認められた。このことより、関節軟骨修復機転においてもその効果が期待される。この研究成果は第8回軟骨代謝学会(平成13年3月8日、前橋市)と第17回整形外科基礎学術集会(平成14年10月11日、弘前市)にて発表した。 3. 非ウィルスベクターを用いた遺伝子導入:非ウィルスベクターとしてはプラスミドを用いた系を利用して検討した。関連実験としてフィブロネクチンプラスミドをマウスコラーゲン関節炎モデルに対する投与で、関節炎の進行が抑制されただけでなく、関節炎の程度も軽減した。これらの結果はArthritis and Rheumatismに発表した。
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