研究概要 |
平成13年度 A)SHRSPにNOS阻害薬含有高脂肪飼料を投与し高脂血症を作製の確認 生後14週齢の牡SHRSP/Izmを約10匹SHR等疾患モデル共同研究会(SHRラット共同研)から購入し、長崎大学医学部附属実験動物施設で15週齢からNOS阻害薬(NG-nitro-L-arginine)含有飼料を与え、17週齢にてエーテル麻酔下に屠殺し、血中脂質濃度 電解質濃度測定、大腿骨を摘出し、10%ホルマリン固定し、脱灰切片を作製した。 体重と血圧:増加傾向がみられ、血液生化学検査:総コレステロール値やトリグリセライド値が対照群の倍値に上昇し高脂血症を呈したが、電解質は正常であった。 大腿骨頭の壊死の頻度は対照群が0%に比して75%であった。大腿骨頭血管の光顕観察(H&E染色)ではNOS阻害薬投与による影響は見出せなかった。 B)ステロイドホルモン皮下注射の条件設定 SHRSP/Nagasaki牡ラットに酢酸メチルプレドニゾロン10mgを1shotで背部に筋肉内注射すると対照群に比較して総コレステロール値やトリグリセライド値がほぼ倍で、骨頭壊死の発生頻度が総じて50%であった。しかし体重の減少即ち、異化の亢進は体重200gのラットにメチルプレドニゾロン10mgを1shot投与が過多と考えられ、減量投与や投与時期などの検討が必要である。本研究の結果は平成13年第37回高血圧自然発症ラット(SHR)学会総会で発表した。 平成14年度 平成13年度のA),B)についてその再現、発展を目指し、研究した。 長崎大学医学部附属実験動物施設で牡SHRSP/Nagasakiを約100匹使用し、生後15週齢で処置を開始し19週齢にてエーテル麻酔下に屠殺し、血中脂質濃度 電解質濃度測定、大腿骨を摘出し、10%ホルマリン固定し、脱灰切片を作製観察した。15週齢からNOS阻害薬(NG-nitro-L-arginine)含有高コレステロール飼料(HFC食)投与群(HFC食群)Steroid Hormone皮下注射を加えたHFC食投与群(Steroid Hormone投与+HFC食群)Steroid Hormone皮下注射を加えた通常SP飼料で飼育する群(Steroid Hormone投与群)control群は通常SP飼料で飼育した。 血液生化学検査:HFC食群では総コレステロール値とLDL値が著高したのに対し、Steroid Hormone投与群では総コレステロール値の上昇は軽度であったがHDL値、トリグリセライド値は上昇していた。組織学的には壊死発生頻度はcontrol群に比べ、HFC食群、Steroid Hormone投与群、Steroid Hormone投与+HFC食群で高い傾向がみられた。 control群に比べSteroid Hormone投与群とHFC食群ではmetaphysis骨髄内の脂肪細胞の増加、膨化が著しく、特にSteroid Hormone投与群、Steroid Hormone投与+HFC食群ではその脂肪細胞は変性した部もあり壊死への移行を示唆していた。 以上からSHRSPの大腿骨頭壊死に発生機序に血管内皮特にNOや高脂血症及びSteroid Hormoneの関与が考えられた。本研究の結果は2002年国際整形外科基礎学術集会(SIROT)及び第17回日本整形外科基礎学術集会で発表した。
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