実験1;糖尿病・高脂血症ラットモデル作製 10週齢の雄SDラットにストレプトゾトシンを静注し、以後1%コレステロール添加特殊飼料を投与する。投与後1、4、8、12週にて血糖値(10-12時)、体重、コレステロール、中性脂肪を計測し、それを目安として糖尿病・高脂血症ラットモデルを作成した。 実験2;膝関節拘縮ラットモデル作製 12週飼育後のラットを用い、腹腔内麻酔下に左後肢に対し当方で開発した関節固定用プレート(アルミ製、重さ約10g、固定角度屈曲120°)を装着し、関節固定モデルとした。 実験3;膝関節可動域の計測 術後2、4、6週と、同週齢のラットの他動的関節運動制限を確かめるため、麻酔下に足関節外果後方より4-0ナイロンを通し、バネばかりに装着した。牽引力を0、1、2、3Nとし、その際の膝関節:角度を計測した。2週の時点では有意差は得られなかったが4週目には糖尿病・高脂血症ラットにて有意に関節可動域(伸展)制限をみた。 実験4;関節包伸展性の検討 実験3と同時期のラットを用い、関節包内にマイクロシリンジポンプを用いて極少量の生食水を経時的に注水し、コンパートメントモニターを用いて関節包内圧の変化を計測した。正常群において関節内圧初期変化が有意に上昇したが、糖尿病・高脂血症ラットではその変化が認められなかった。 実験5;組織学的検討 実験3の後、両下肢を切断し、膝関節および関節周囲組織を10%ホルマリン液で固定しHE染色、膠原線維染色、弾性線維染色を行った。その結果、屈筋群にて筋線維の萎縮と筋線維間に線維性の成分の増加を認めた。 実験6;筋張力変化 実験4の後、他動的関節運動制限が屈筋群を解離することで、改善することに注目し、屈筋群に対し、フォーストランスデューサーにて筋張力を測定した。糖尿病・高脂血症ラット群では正常群にに比較し、筋張力が有意に低下した。
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