研究概要 |
日本で現在汎用されている奈良医大式人工足関節を下肢モデルに挿入し、脛骨側コンポーネント周辺に生じる応力を2次元有限要素法にて解析した。立位FTAが176°の例では、脛骨コンポーネントの内外側ほぼ対称的に応力が分布していた。応力は脛骨側突起部上部で高く、その両側の肩の部分では小さい値であった。アライメントと応力を検討すると、脛骨側突起部に生じた応力は、立位FTAが大きくなるとその値は大きくなり、内側に偏る傾向が見られた。 人工足関節の形状や材質は,設計者が制御することの出来る要因である.一方,下肢アライメントや、骨の形状,その他の関節の状況等は設計者が制御することの出来ない要因である.また、下肢アライメントが人工関節周辺の応力分布に及ぼす影響は比較的大きく、無視できない要因である.そこで,制御できない要因がばらつくことによって評価特性値がばらつくという影響を考慮する必要がある(ロバスト性).詳しい説明は省くが、統計学的最適化手法を用いた解析の結果、突起部で受ける応力を緩和させるために、脛骨側コンポーネントの突起部と脛骨の境界面に骨よりも柔らかい材料を挿入した方が良いことがわかった.ロバスト性を考慮した人工足関節の形状最適化を行った結果、脛骨側コンポーネントの幅は7.8mm,高さは4.54mm,外側へのずれ幅は7.0mm,突起部と脛骨の境界面に挿入する材料特性は7200MPaという値が得られた.今後、解析の精度を向上させ、解析要因のさらなる検討を加え、3次元解析へとつなげる予定である。
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