磁場は生体のいかなる組織によっても影響されないが、組織の電気的変化によって影響される。今日微小電流を計測できる超伝導量子干渉素子の開発によってはるかに微小な電流の計測が可能となっており、現在脳磁図や心磁図として生体組織への応用がなされており、今回われわれは細胞分化や増殖に伴う細胞レベルでの電位の計測を試みている。細胞増殖能は悪性腫瘍に高く認められており、非侵襲的に腫瘍内の細胞増殖を計測できれば、悪性腫瘍の診断や評価においた臨床的価値は高いと考える。まず、細胞レベルでの細胞分化や増殖能の計測をはじめに試みる予定である。材料は骨芽細胞様株を培養器で7日間培養したのち、磁気シールドルーム内に細胞培養されたシャーレを持ち込み、簡易温度調節装置を作製して温度を37度に維持させて培養器内のシャーレの電気的変化を計測するが、細胞培養の培地だけでその電気的変化がないことをまず確認している。超伝導量子干渉素子は島津社製の1チャンネルのものを使用し、容器から3cm離れた位置で細胞増殖に伴う電位変化を1時の間積算回数で計測している。現在のところ雑電位が認められ、その排除のため、積算回数、温度条件、温度調節のための気流の方向などをいろいろ条件を変えて最適な条件の獲得を試みている。
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