今日生体内の微小電流に伴って生じる微小磁場を計測できる超伝導量子干渉素子(Superconduction Quantum Interference Device : SQUID)の開発によって、生命活動に伴って生じる微小電流の方向とその三次元的局在の計測が可能となり、現在、脳磁図、心磁図として研究が続けられている。磁場は生体のいかなる組織によっても影響されないが、組織の電気的変化に影響される。3年前からわれわれはSQUID)を用いた仮骨や骨組織に関する研究を本邦ではじめて行ってきた。今回培養細抱を用いて細胞レベルでの膜電位の変化や代謝産物、分化や増殖に伴う電位の変化を非侵襲的に磁場変化として捉え、骨芽細胞系の分化や増殖、腫瘍細胞特に骨肉腫系の細胞増殖における微小磁場変化を比較することを試みた。平成13年度は独自の恒温装置を開発し、培養細胞の増殖に伴う磁場変化を観察したが、ノイズを排除できないため、温度条件や恒温維持のための通気を変化させてみたが、ノイズを排除できる条件は見出せなかった。平成14年度は培養細胞をその増殖能に影響がでるが、島津製作所製の単チャンネルSQUIDセンサーが使用停止となったため、仮骨形成を成熟促進のための電磁場刺激の基礎研究に移行した。まず仮骨のインピーダンスの研究を集中的に行った。白色兎家の脛骨に仮骨延長を行い、経時的にそのインピーダンスを計測した。また、ピン刺入部の脛骨におけるピン・胃インタエーファイスの経時的な抵抗値の変化をも計測した。これらの研究から、インピーダンスが手術後脚延長前と比較して約1.5倍の値になれば仮骨の骨性癒合力得られたと判定でてきた。また、BMPを延長仮骨に注入して仮骨形成の促進を図る研究、交流電気刺激を延長仮骨部に行い仮骨の形成促進および成熟をはかる研究を平行して行っている。研究の成果は今後の研究会で発表する予定である。
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