研究概要 |
Fischer344系ラット7週令を用いて実験を行った。手術用顕微鏡下に脛骨の骨膜を伏在動静脈を血管柄として挙上し、4mm四方のハイドロキシアパタイト(HA)をこの骨膜で包んだ。この複合物を腹壁皮下に移植し2,4,6,8週後に取り出した。対照実験としてはHAを血管柄付き筋膜弁(下腿内側)で包んだものを作製した。まず標本のmicroangiographyを行い、血管柄付き骨膜の、血行状態を確認したところ伏在動静脈は良好に開存しており、HAを包んでいる骨膜全体にわたって血行が保持されていることが確認された。次に取り出したHAの脱灰標本を作製し、骨形成量を顕微鏡下に観察したところ、血管柄付き骨膜グループにおいては2週の時点で、すでに旺盛な骨形成が骨膜側から観察され、6週ではHAのほぼ全体に骨形成が見られるようになっていた。一方で、筋膜弁のグループでは各週の標本にて骨形成は全く見られなかった。次に各週の標本にて生化学的な評価を施行した。標本1個あたりの平均オステオカルシン量は骨膜弁グループの0週では1.5、2週で445、4週で945、6週で880、8週で1050と著明な増加が見られた。筋膜弁グループがすべての週にわたって、ほぼ20-30であったのに比べると有意に高値であり、良好な骨形成が行われていることが示唆された。 一方で、免疫抑制剤として使用されているFK506および骨形成誘導蛋白であるBMP2の培養骨髄細胞での骨形性能についての評価をしたところ、良好な骨形成促進能が観察された。
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