研究概要 |
平成15年度は,膝関節後十字靭帯および後外側支持機構損傷に対する新しい再建法を臨床応用した成果について,第21回関節鏡セミナー(2003.8.1,講演,千葉)および第29回日本膝関節学会(2004.2.14,シンポジウム,広島)で報告しました.発表では,屍体膝標本を用いて,再建材料として人工靭帯を使用した場合の再建法についてビデオで紹介しています.また昨年度より導入しておりますQualysis社製動作解析装置を用いて,後十字靭帯単独損傷患者,後十字靭帯および後外側支持機構複合損傷患者における動作解析を行い,第18回日本整形外科学会基礎学術集会(2003.10.17,ポスター,北九州)では,後十字靭帯損傷患者が階段降下動作中,着地直後に膝屈曲角度を減弱し,荷重量を減らすという工夫をしていることを明らかとしました.また第30回日本臨床バイオメカニクス学会(2003.11.28)において,後十字靭帯・後外側支持機構複合損傷患者では,平地歩行中膝関節を過伸展および内反しないよう工夫していることを報告しました.これらの結果は,靭帯損傷患者における自覚症状ときわめて符合していることから,動作解析は患者の自覚症状に対する客観的評価法として有用であることを示唆しています. かねてより作製しておりました3次元膝負荷試験機が平成16年1月に完成にいたりました.近日本装置を使用した手術シミュレーション実験(人工靭帯,チタン製ステープル使用)を開始する予定です.本実験装置は従来の機械では限界とされた膝深屈曲位での評価も行え,靭帯再建術に加え人工関節置換術のシミュレーションも行えるため有用です.靭帯再建術のシミュレーション実験の成果は,2005年に開催される第30回日本膝関節学会で報告する予定です.
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