目的 超音波パルスの照射が損傷膝蓋腱の修復過程に及ぼす影響についての実験を行った。 方法 成熟ラットを用いて実験を行なった。直径2mmの膝蓋腱に欠損を作成した。術後、超音波パルス照射群と何にも照射しないコントロール群の2群を作成し、1日あたり局所に20分の超音波磁場照射を行い、1週照射、2週照射、3週照射、4週照射後に屠殺して、損傷膝蓋腱の治癒過程を肉眼的、組織学的に観察した。評価は肉眼的観察ではコンピュータを用いた画像処理で組織修復状態を定量的行い、組織学的評価では膠原線維の配列、成熟度を光学及び電子顕微鏡で観察し、コンピュータの画像処理から定量的な評価を行った。 結果 超音波照射群は照射後1週の時点でコントロール郡と比較して明らかに腱の修復が促進していた。照射後3週を経過すると両群の間に明らかな差は認めなかった。今後は、一般染色のほかに、免疫染色による線維芽細胞、膠原線維などの組織修復過程を、光学及び電子顕微鏡で検討する予定である。さらに修復腱の力学試験も行う予定である。 結論 損傷腱は超音波照射によりその修復が促進され、有用な方法と思われた。
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