研究概要 |
1.対象症例の選択 1968年から2001年までに当科の症例において生検および手術で得られた軟骨系腫瘍のうち、悪性腫瘍の軟骨肉腫が31例、良性腫瘍の内軟骨腫が5例、良性軟骨芽細胞腫が5例、正常軟骨が2例をコントロールとしてH-E標本を選び、対象症例を選択した。 2.免疫染色の条件設定 これらの症例を対象として、MMP-2、MMP-9、TIMP-1、TIMP-2の免疫設定条件を抗ヒトMMP-2抗体、抗ヒトMMP-9、抗ヒトTIMP-1抗体、抗ヒトTIMP-2抗体を使用し検討した。 3.軟骨肉腫のGradeの評価 O'Nieal, Ackermanの分類を参考として軟骨肉腫の31例をGradeをI-IV別に分類し検討した。検鏡上、全腫瘍細胞中に何パーセントが陽性細胞であるかを肉眼的に判定し、染色性が全く染まらないものを0,1-25%が1,26-50%が2,51-75%が3 76-100%が4に分け、0から4の点数とし評価した。 4.結果 軟骨肉腫はGrade Iが7例、Grade IIが16例、Grade IIIが6例、Garde IVが2例で、そのうち1例は脱分化の軟骨肉腫であった。Grade IではMMP-2で平均1点、MMP-9で平均0.43点、TIMP-1で0平均0.43点、TIMP-2で平均1.29点であった。Grade IIではMMP-2で平均2.19点であり、MMP-9で平均1.81点、TIMP-1で平均1.31点、TIMP-2で平均2.69点であった。Grade IIIではMMP-2で平均5.83点、MMP-9で平均1.5点で、TIMP-1で平均2.5点、TIMP-2で均2.83点であった。Grade IVではMMP-2で平均1.5点であり、MMP-9で平均1.5点、TIMP-1で平均1点、TIMP-2で平均2.5点であった。良性腫瘍は現在検索中であり、悪性との関連について検討する。
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