研究概要 |
自己免疫性関節炎マウスの開発 (1)CILP mouse Cartilage intermediate layer protein (CILP)は、加齢とともに関節軟骨の中間層に発現する全長1184アミノ酸残基からなる蛋白である。この蛋白の後半1/2はNTPPHase活性部位であるため、前半677アミノ酸残基に相当するcDNAを発現ベクターに組み込み、融合蛋白として発現した。この蛋白をマウスに免疫したところ、少数関節に限局する関節炎を確認した。さらに、CILP蛋白を細分化して免疫したところ、中央部(384〜735、352残基)のエピトープに最も強い関節炎原性を認めた。尚、コラーゲン誘発性マウスと異なり、腱の石灰化が認められた。免疫マウスから採取したリンパ球は、中央部のさらに前半1/3部分(384〜515,132残基)のエピトープに最も強い反応を示した。 (2)YKL-39mouse YKL-39は軟骨培養細胞から比較的多く分泌され、軟骨修復に働くとされる蛋白である。これを融合蛋白として発現し、マウスに免疫したところ単肢に限局する関節炎を確認した。関節炎は、C57/BL, BALB/c, DBA/1,ICRの各系統に発生したが、BALB/cにより強く、長期間に発現し、弱いMHC拘束性が認められた。また、免疫したマウスから採血して得たリンパ球は、YKL-39の前半1/3のエピトープに最も強く反応した。一方、抗II型コラーゲン抗体が、関節炎の発症とともに血清中に認められ、関節炎に伴い、破壊した軟骨成分に対し、2次的に免疫反応が誘導されることが示唆された。
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