研究課題/領域番号 |
13671550
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
吉田 浩二 近畿大学, 医学部, 講師 (60230736)
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研究分担者 |
福田 寛二 近畿大学, 医学部, 教授 (50201744)
仲谷 達也 近畿大学, 医学部, 講師 (40319661)
斉藤 昭夫 近畿大学, 医学部, 講師 (40153788)
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キーワード | aggrecanase-1 / α1-antitrypsin / α1-antichymotrypsin / 酵母two-hybrid |
研究概要 |
関節軟骨の基質の主たる構成成分はタイプIIコラーゲンとプロテオグリカン(その90%がアグリカン)である。アグリカンの分解に関わる酵素として従来からよく研究されてきたのはマトリックスメタロプロテアーゼであった。しかし、最近では変形性関節症や関節リウマチ(RA)に関連した軟骨変性(アグリカンの分解)に関与する主要な酵素はaggrecanase-1(agg-1)であることが明らかになりつつある。そこで、本研究ではRAなどの軟骨変性に関与するagg-1の内因性インヒビターを同定し、それを生体内で発現させ、軟骨変性を制御するということを最終的な目的とした。agg-1のcatalytic domainをbaitとして酵母two-hybrid法を行ったところ、agg-1がα1-antitrypsin(AT)やα1-antichymotrypsin(ACT)がpreyタンパク質として同定された。さらに、Agg-1とATの全長cDNAを発現ベクターpSG5に組み込んで、真核細胞COS7に同時にトランスフェクションし発現させ、免疫沈降実験を行ったところ、Agg-1とATは全長タンパク質同士でも結合した。ATやACTはセリンプロテアーゼインヒビターであり、これらはagg-1のような金属プロテアーゼとは反応しないという従来の概念に反する興味深い知見が得られた。 また、本研究遂行中に、細胞外基質を構成するプロテオグリカンの一種であるデコリンのロイシンリッチリピート領域が細胞骨格タンパク質であるfilamin-Aと結合すること、ウシ軟骨細胞に牽引負荷を与えると軟骨細胞表面に存在するヒアルロン酸の低分子化が起こることなどを明らかにした。 今後、in vivoにおいてagg-1の酵素活性にATやACTがどのように関わっているのか、またagg-1の酵素活性をATやACTが阻害するならば、その活性中心ドメインの同定や活性に糖鎖が及ぼす影響などが検討課題になると考えられる。
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