研究課題/領域番号 |
13671560
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
松木 明知 弘前大学, 医学部, 教授 (20003543)
|
研究分担者 |
窪田 武 弘前大学, 医学部・附属病院, 医員
櫛方 哲也 弘前大学, 医学部・附属病院, 医員
廣田 和美 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (20238413)
|
キーワード | 全身麻酔薬 / 睡眠 / ノルアドレナリン / 生理睡眠物質 |
研究概要 |
全身麻酔薬の睡眠に与える影響としてNMDA受容体に主に作用するケタミンは、投与後のNREM睡眠を増加させることが示唆された。ケタミンは大脳皮質からのノルアドレナリン放出を促進させる。生理的睡眠物質であるIL-1, TNFなどのサイトカインは、視床下部からノルアドレナリンの放出を促進させるため、全身麻酔薬による睡眠の変調に、生理的睡眠物質による脳内ノルアドレナリン作動性神経活性の変調が関与していることが示唆された。 近年発見されたオレキシンは生理的活性物質であり、その受容体の欠如がナルコレプシーの一因として考えられている。オレキシンは脳内の神経伝達物質のうちノルアドレナリンの放出を選択的に促進することが判明した。このことより全身麻酔薬の睡眠に与える影響を検証する手段として、オレキシン投与は有用であると考え、オレキシンが全身麻酔薬による睡眠にいかなる影響を与えるか検討した。 オレキシン0.2、1.0、5.0nmolを脳室内投与した一時間後に、通常の麻酔量である各種バルビタール、即ちペントバルビタール(35mg/kg)、チオペンタール(45mg/kg)、フェノバルビタール(105mg/kg)を腹腔内投与、睡眠時間を測定した。その結果、上記のすべてのバルビタールによる睡眠時間が対照群(生食投与群)と比較し短縮した。この結果は生理的睡眠関連物質が麻酔による睡眠にも関与し得ることを示唆しており、全身麻酔後の睡眠障害の研究に有用な情報を提供している。詳細については引き続き研究中である。
|