研究概要 |
・サンプルの収集 採取承諾を得た特発性肺胞蛋白症(iPAP)患者の血清サンプルを165検体、気管支肺胞洗浄液(BALF)を34検体得た。 ・抗GM-CSF自己抗体の定量 サンプル中の抗GM-CSE自己抗体価は血清中(中央値81.9、範囲4.7-686.3μg/ml)、およびBALF中{1.15、0.09-54μg/ml)ともk高い疾患特異性をもって、高濃度検出された。 ・抗側GM-CSF自己抗体の性状解析 患者11名の血清から精製した自己抗体の性状解析を行った結果、強い中和活椎、結合力、結合特異性をもち、立体構造を認識する抗体であることがわかった。この結果から抗GM-CSF自己抗体は、肺内のGM-CSF活性を中和枯渇するのに十分な性状をもつものであることがわかり、学術雑誌American Journal of Hematologyに投稿、採用された。 ・患者重傷度と各種パラメータの相関 患者のPaO_2値を元に分類した重症度、A-aDO_2,Dl_<CO>の値と、各パラメータとの相関を検討した結果、重症度と血清中CEA,KL-6,SP-Aは有意な相関が認められたが、血清中、BALF中自己抗体価、血清から分離した自己抗体の中和活性は相関しなかった。 ・治療にともなう重傷度の変化と各種パラメータの相関 平成14年より「特発性肺胞蚕白症患者に対するGM-CSF吸入療法」の臨床研究が開始され、現在15例中9例で症状の緩解が認められている。4例で血清のGM-CSF中和活性を経時的に測定したところ、2/4例でPaO_2値およびAaDO_2値と平行して推移する傾向が認められた。低侵襲である血清中GM-CSF中和活性は血清中CEA,KL-6,SP-Aと比べて疾患特異性があり、また重傷度を反映する指標となりうる可能性が考えられた。引き続き症例数を蓄積して評価していく予定である。
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