研究概要 |
電位依存性のカリウムチャネルであるERG1、ELK1、KCNQ2/3チャネルは、2MAC(minimum alveolar concentration)あるいは2anesthetic EC_<50>の濃度の検索したすべての麻酔薬に対して抵抗性を示した。一方、内向き整流性カリウムチャネルの中で、G蛋白連関型のチャネルは揮発性麻酔薬により抑制されたが、静脈麻酔薬には影響されなかった。主に神経系に発現しているGIRK1/2およびGIRK2チャネルは2MACのハロセン、イソフルレン、エンフルレン、F3(1-chloro-1,2,2-trifluorocyclobutane)により抑制されたが、主に心筋に発現しているGIRK1/4チャネルはハロセン、イソフルレン、エンフルレンによってほとんど影響されず、F3によってのみ抑制された。F3と類似した構造を有するが非麻酔薬であるF6(1, 2-dichlorohexafluorocyclobutane)によってGIRKチャネルは影響されなかった。一方、別のタイプの内向き整流性カリウムチャネルであるIRK1およびROMK1チャネルは検素したすべての麻酔薬に対して抵抗性を示した。 検索したカリウムチャネルの中では、G蛋白連関型内向き整流性チャネル、特にGIRK2サブユニット(神経型サブユニット)から構成されるチャネルが揮発性麻酔薬により選択的に抑制されしこの作用は揮発性麻酔薬における興奮性の副作用(痙攣、痛覚過敏など)に関与している可能性があると考えられる。
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