研究概要 |
肝組織血流を計測するための前段階として、蛍光色素マイクロスフェア(MS)法によや臓器血流測定を確立するための動物実験を行った。 実験の概要は家兎を用いて自発呼吸+Pressure support ventilation(PSV)と筋弛緩下人工呼吸時における呼吸筋と主要臓器血流量をMS法を用いて検討するものである。 【方法】対象はpropofol+ketamine持続静注麻酔下の家兎。局所麻酔併用下に気管切開、左内頚動脈よりMS投与用に左心室内にカテーテルを挿入、採血用に右大腿動脈を確保、頚部食道より胃、食道内圧測定用にバルーンカテーテルを挿入した。部分補助換気はPSV0,6,15cmH_2Oの3段階、筋弛緩後、Pressure control ventilation(PCV)6cmH_2O,換気回数(RR)36/min,吸気時間(T_I)0.6秒とPCV12cmH_2O, RR18/min, T_I0.6秒の2段階にて計5色のMSを投与した。投与終了後、横隔膜、腹直筋、左下肢屈筋、肝臓、腎臓の組織を採取し組織血流量を測定した。 【結果】心拍出量、および肝、腎、下肢筋の組織血流量は呼吸条件によって有意には変化しなかったが、横隔膜、腹直筋の組織血流量は呼吸条件によって有意に変化した。呼吸筋の組織血流量はPSV0に比べ、PSV6が最も低く、PSV12がそれにつぐ傾向がみれれた。筋弛緩調節呼吸時もPSV0に比べ、呼吸筋の組織血流量は低値をとる傾向が見られ、PCV12では有意に低かった。 【結論】呼吸筋の組織血流量は人工呼吸によって影響された。肝血流についてはこの実験系では変化を認めなかったが、肝組織血流測定の標準法として用いることが可能と考えられる。
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