研究概要 |
マイクロバブル法による肝組織血流測定法を確立するにあたって、比較対照のためにcolored-microsphere法による測定値を用いる必要があるため横隔膜を含む諸臓器血流計測を行うこととした。体重約3kgのウサギを用い気管切開下でpressure support ventilation(PSV) 0,6,12cmH_2Oと筋弛緩を行った後pressure controlled ventilation (PCV) 6,12cmH_2Oをそれぞれ20分間ずつ行い、それぞれの人工呼吸器設定でcolored-microsphereによる臓器血流計測を行った。結果はPSV6,PCV6,PCV12の時の肋骨部と背側横隔膜局所組織血流値はPSV0のそれよりも有意に小さかった(p<0.05)。PCV12の時の背側横隔膜局所組織血流はPSV12のそれよりも有意に小さかった(p<0.05)。肝・腎など他の組織における局所組織血流は5つの人工呼吸器設定の間で有意な差はなかった。人工呼吸器の設定は横隔膜の局所組織血流に影響を与えたが、それ以外の臓器血流には影響しなかった。あるレベルのPSV中の横隔膜血流は筋弛緩薬を用いた完全な調節呼吸中と同程度の低値まで低下した。これより高いレベルのPSVでは横隔膜血流は増加した。おそらく吸気の不同調によるものと考えられる。今回の研究期間中では予定したマイクロバブルによる肝組織血流測定法の検定まで終了することができなかった。しかし人工呼吸器の設定の違いによる横隔膜血流の変化というより微小な血流変化をmicrosphere法により検知することができたことからマイクロバブル法による血流測定値を校正する測定法としては十分な精度を持つことが確認できた。現在マイクロバブル法による血流測定値をmicrosphere法による測定値と比較検討中である。
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