家兎摘出還流肺を用い、肺循環還流量、脈動回数、および換気量、換気回数を変えて還流流速、還流圧をデイジタル記録し、FFT(高速フーリエ変換)プログラムでインピーダンスの周波数特性を求め、さらにGauss-Newton algorithmを組み込んだ最小二乗法プログラムで数種の電気回路モデルから最尤のモデルを検討した。いずれ自作のプログラムを用いた。 換気様式による差を比較するために陰圧換気方式(模擬胸腔を作製し、腔内を陰圧して換気)と陽圧換気方式による還流流速、還流圧を測定、比較した。 今回、種々条件を変えて実験を行ったところ、摘出園流肺モデルは制約を受けることが分かった。すなわち、還流肺モデルでは呼吸と循環が他動的に行われていることから、還流量(圧)と換気量(肺胞圧)のmismatchによると思われる傷害が比較的容易に起こることが分かった(生理的還流量を維持すると標本は30分強で利用不能となった)。また、摘出還流肺モデルのデメリットである左房の弁機能が機能しないことにより、左房の還流抵抗により流量波形が異なった(還流システムは還流ポンプ、肺動脈、肺、左房、reservoir、還流ポンプで構成。標本作成時の手技によって変わる)。条件を多くすると時間の制約を受け一標本での条件間の比較が困難となるために今回はモデルの決定にとどめ、モデル構成素子の量的変化については旨及しないこととした。 研究途中で圧量曲線(PV-curve)は物理的法則(連続の方程式)に従って解析できるのではないかと考え、還流中の肺で圧量曲線をシリンジポンプで送気する方法と、従来法のquasi-static法、および人工呼吸器による方法で求めた。本法による圧量曲線の解析法を完成させた。またラット肺について肺の圧量曲線を調べ、さらにラットにLPSを投与して障害肺の圧量曲線を調べ、圧量曲線の意義を病態と関連させて検討した。
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