研究課題/領域番号 |
13671586
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大下 修造 徳島大学, 医学部, 教授 (60144945)
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研究分担者 |
中屋 豊 徳島大学, 医学部, 教授 (50136222)
北畑 洋 徳島大学, 医学部, 助教授 (60161486)
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キーワード | 心筋虚血 / Kチャネル / ミトコンドリア / 心保護効果 / フェンタニル / 2, 4 dinitrophenol / ジアゾキシド / flavoprotein |
研究概要 |
先行する短時間の心筋虚血、あるいは揮発性吸入麻酔薬の前投与が、続いて起こる長時間の心筋虚血に対して保護的に作用する。近年、この効果の機序としてミトコンドリアのATP感受性K(K_<ATP>)チャネルが重要な役割を果たす。我々の研究目的は、先行虚血や麻酔薬の心筋保護効果にミトコンドリアK_<ATP>チャネルがどの程度関与しているかを検討することである。 【方法】ラットの心臓をランゲンドルフ法にて灌流し、酵素灌流法により単一心筋細胞を取り出した。蛍光顕微鏡を使用しミトコンドリアのflavoprotein酸化蛍光を測定することにより、ミトコンドリアの酸化反応の指標とした。ジアゾキシド(ミトコンドリアK_<ATP>チャネルの選択的開口薬)の反応を調べ、発生した蛍光が、ミトコンドリアK_<ATP>チャネル活性を反映していることを確認した。1、フェンタニルのミトコンドリアK_<ATP>チャネル活性に対する作用を検討した。また、2、2,4 dinitrophenol(DNP、ミトコンドリアでのATP合成阻害薬)で標本を還流し、心筋虚血モデルとし、5分間の先行虚血、10分間の再還流後、15分間虚血した群(先行虚血郡)と先行虚血なしで15分間虚血した群(対象群)とでミトコンドリアK_<ATP>チャネル活性を比較検討した。 【結果】1、フェンタニルは濃度依存性にミトコンドリアK_<ATP>チャネルを有意に活性化した。以上の結果はフェンタニルがミトコンドリアK_<ATP>チャネルの活性化を介して心保護効果を示す可能性を示唆している。2、虚血実験において、対象群では15分虚血後にK_<ATP>チャネル活性は基準値に比較して188±45%増加したのに対して、先行虚血群では252±51%増加した。以上の結果は、先行虚血による刺激が、それに引き続いた虚血時に開口率を上昇させるというミトコンドリアK_<ATP>チャネルの特性により心保護効果を生じる可能性が示唆された。
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