13年度:ATIIIのメディエータ産生抑制の機序が、抗凝固作角による間接的なものか、細胞に対する直接作用かを検討するために、ラットの腹腔内マクロファージを用いて各種刺激によるメディエータ産生に対するATIIIめ効果を検討した。(方法)エーテル麻酔下のラットから、型通りマクロファージを採取した。細胞を刺激するものとして、エンドトキシン(LPS)及びheat-killed group B streptococcus (GBS)を用い、その各々にATIIIを添加し、12時間培養した後、その上清を採取して後の検討に用いた。今回はIL-2とIL-6の測定を行なった。(結果)LPS及びGBSの刺激によってコントロール群に比較して、IL-2及びIL-6は有意に賦活された。その賦活はATIIIの存在によって有意に減少した。(結論)ATIIIがラットの敗血症性ショックの生存率改善に対し、炎症性アラキドン酸代謝産物及びサイトカイン産生の直接的な抑制が関与している可能性が示唆された。 14年度:グラム陽性菌の産生するスーパー抗原のショックを引き起こす作用について検討するために、東レ(株)とスーパー抗原吸着カラムを開発し、グラム陽性菌によって発症した敗血症性ショック時のスーパー抗原の果たす役割について検討した。(方法)日本白色家兎(n=16)を用い、ネンブタールの投与によって麻酔下に、開腹し、盲腸を回盲弁の直下で結紮した後、1cmの穴を開けた後閉腹し、TSST-1産生標準黄色ブドウ球菌FRI1169を6 x 10^8 cfu/kg腹腔内に投与し実験に供用した。その後の血行動態の変化や、TSST-1などのスーパー抗原の産生量を検討した。さらに体外循環下にスーパー抗原吸着カラムを使用しその種々のパラメータに対する影響を検討した。(結果)16頭全ての動物でTSST-1は100pg/ml以上に上昇した。全動物の平均生存時間が7.6_±1.7時間であった。スーパー抗原吸着カラムによって、ショックになるまでの時間が有意に延長し、TSST-1の産生が減少した。
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