研究概要 |
Lymnaea培養シナプスにおいてcurrent-clamp細胞内記録を行い,そのドパミン(DA)伝達に対する揮発性麻酔薬の影響について調べた. 対象と方法:本実験には淡水棲カタツムリLymnaea stagnalisを使用し,その単離脳標本において呼吸運動の中枢パターン発生器(CPG)を構成する細胞(RPeD1,VD4)およびIP3の活動を間接的に反映する細胞(VJ)をモデルとして,それらの細胞に微小ガラス電極を直接刺入し,current-clampテクニックを使用した細胞内記録を行った.実験1)controlとしてCPGモデルの細胞間に形成される抑制性または興奮性シナプスの静止時と自発発火時における基本的特性を調べた.実験2)CPGモデルの各細胞に対するDA(10μM)の瞬時投与による模倣反応を記録し,controlに対するD2,揮発性麻酔薬sevofluraneの影響を投与時とwash後で調べた. 結果:実験1)特性はすでに報告されている結果におおむね一致した.実験2)DA(10μM)の瞬時投与の位置決めによりその反応が大きく異なるため,CPGモデルのどの部位に薬物を投与するのが最適かを決定するのに難渋した.3通りの投与方向および灌流方向を定めることで解決した.sevofluraneはCPGモデルにおけるシナプス伝達全体に対し抑制牲に作用するようだが、十分なデータはまだそろっていない. 考察:CPGモデルにおける抑制性または興奮性シナプス反応は相互作用を有することを確認した.これらに対しsevofluraneは抑制性に作用する傾向をみとめた.
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