研究概要 |
本年度は,疼痛時に使用する消炎鎮痛剤フルルビプロフェン(注射薬)の血清蛋白結合について、まずin vitroでの検討を行った。次にin vivoにおいて薬剤の投与時間と採血時間さらに、ヒト血清からの最適な抽出並びに測定方法についての検討を行ってきている。 フルルビプロフェンが結合する蛋白の種類、及びそれぞれの蛋白における結合サイトの同定を試みた結果、ヒト血清アルブミン(HSA)のサイトIIに強く結合することが判明した。その他の血清蛋白であるα1-酸性糖蛋白質(AGP)及びγ-イムノグロブリンG(γ-IgG)には、ほとんど結合しないことがわかった。一般にHSAのサイトIIに結合する薬物は結合阻害を受けやすい。したがって、フルルビプロフェンの組織移行性は生体内に共存する薬物や内因性物質などによって大きく変化する可能性が高く、それらの物質等の同定に関しても検討しなければならないことがわかった。 フルルビプロフェンを人に投与した場合、遊離型濃度を測定できる採血時間の限界は投与後30分まであった。抽出に用いる有機溶媒やHPLCの条件等も2,3の最適な条件を発見した。 フルルビプロフェンの効果を十分発揮するために、患者に対する薬物投与法を患者の状態別に検討している。
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