研究概要 |
本研究は脊髄液微小透析法を手段としてオピオイド耐性および依存の脊髄レベル発現機序を追求することを目的としていた。ただ課題の採択が平成13年秋となり研究期間が極めて限られたため初年度は実験システムのセットアップを行うことに集中した。熱刺激に対する侵害受容閾値の測定に用いるため熱板式鎮痛効果測定装置(ウゴバジレ社)を備品として購入した。次年度は迅速な研究を施行する必要があるが,まずモルヒネの全身投与あるいは脊髄くも膜下投与によるモルヒネ耐性の発現条件をべ,NMDA受容体拮抗薬あるいはアデノシン受容体拮抗薬の効果を調べる。次にマイクロダイアリシスカテーテルを脊髄くも膜下腔に留置し,一定の実験条件下でのアミノ酸,アデノシンの脊髄からの遊離量について経時的に調べる予定である。なお実験はラットへのストレス,麻酔などの影響を避け,かつ長期間に及ぶため,無麻酔・非拘束下で行う必要がある。そのためマイクロダイアリシスカテーテルは特殊なものを自作する必要があるが,これについては他研究機関で既にその開発に携わり,製作を行ってきたため,本研究機関においてもその製作は比較的容易と思われる。またモルヒネ耐性と同様に,モルヒネ依存についても退薬症状の発現を指標に,脊髄レベルの関与を調べる予定である。
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