研究概要 |
Anandamideはエンドトキシンショック時にmacrophargeや血小板より遊離される初期mediatorの一つと考えられ、ショックの進行に重要な役割を果たしている。今回ラット肝・腎スライスを用いて、エンドトキシンとanandamideの直接的な影響を検討した。ラット肝・腎スライスを作製し、37℃で2時間の前培養を行った後、Sigma社製E.Coli 011:B4を用いた本実験を行った。肝スライスの2時間までの培養系で、エンドトキシンの培養液中の濃度が0.1ng/mlから10μg/mlまではスライス中のK^+濃度は維持され、AST, ALTの有意な上昇はなかった。スライス中adenine nucleotides濃度は10ng/mlまでは維持された。高濃度エンドトキシンのスライス中adenine nucleotides濃度への影響と培養液中αGST活性は現在測定中である。エンドトキシン濃度10μg/mlの系で培養液中にanandamideの産生(4picomole/ml)が検出された。Anandamideは初期mediatorと考えられていることから、培養時間を15分、30分、1時間と低濃度エンドトキシン群を加えて現在検討中である。肝スライスへのanandamideの影響について培養液中の濃度を75μMと150μMについて2時間の系で検討した。スライス中K^+濃度は維持された。その他のパラメーターについては測定中である。腎スライスでも肝スライスと同様の系で検討し現在パラメーターの測定中である。今までの結果から、エンドトキシンにより肝ではanandamideの産生があること、短時間での肝・腎へのエンドトキシンの直接的な障害性は低く今後長時間培養での検討が必要であることが考えられる。anandamideの直接的な影響と腎への影響は現在測定中の結果を元に明らかにしたいと考えている。
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