研究課題/領域番号 |
13671602
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
安部 洋一郎 横浜市立大学, 医学部, 助手 (50295490)
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研究分担者 |
原田 高志 横浜市立大学, 医学部附属病院, 助手 (40326038)
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キーワード | Bacterial DNA / CpG motif / 炎症反応 / SIRS / TNF-α / 抑制性塩基配列 / RAW 246.7 cell |
研究概要 |
近年、遺伝子治療に伴う炎症反応、SLEなどの自己免疫疾患、感染後にみられる無菌性関節炎、無菌性髄膜炎など細菌感染やSIRS以外にもCpG motifが原因となる病態が明らかになってきた。本研究の目的であるCpG motifによる炎症反応の抑制/制御は、こうした様々な病気の治療につながるものとなった。 今年度は、昨年度までの結果に基づき、CpG motifによる免疫反応を抑制する抑制性塩基配列を用い、CpG motifに由来する炎症反応の抑制について検討した。まずその機序について検討した。RAW264.7 cellにおいて抑制性塩基配列は、転写因子NF-κB活性化を抑制した。これによりmRNA誘導が低下することが、RT-PCRにて定性的に、またluciferase assayにより定量的に示された。次に、上に述べたいくつかの疾患において、また炎症反応のカスケードにおいて中心となるTNF-α産生について検討した。抑制性塩基配列はbacterial DNAによるTNF-α産生を有意に抑制した。 グラム陰性菌感染では、生体は細菌の細胞壁とbacterial DNA、すなはちLPSとCpG motifにより同時に刺激され、これらは相乗効果をもつ。計画では、このCpG motifによるLPSに対する炎症反応の増強に対する抑制性塩基配列の効果について検討する予定であったが、これには至らなかった。 また、宿主は細菌DNAをdanger signalとして認識し生体防御反応としての炎症反応を起こしているが、抑制性塩基配列はこの炎症反応の経路の阻害剤であるので、細菌感染を増悪させる可能性もある。今後の臨床応用を視野にいれると、抑制性塩基配列の細菌感染に対する作用、副作用についても検討する必要がある。これらは今後の課題として残る。
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