研究概要 |
コデイノンのアポトーシス誘導活性 [目的]:モルヒネ関連化合物は、がん性疼痛に臨床的に使われており、最近その代謝産物の一つであるモルヒネ6-グルクロナイドの消化器系がん細胞アポトーシス誘導が報告された。我々も、モルヒネ関連化合物12種類の構造活性相関を検討した結果、コデインの酸化生成物であるコデイノンにヒト前骨髄性白血病HL-60細包におけるヌクレオソーム単位のDNA断片化誘導活性を見出した(河瀬ら、Anticancer Res 22:in press, 2002)。今回、コデイノンのアポトーシス誘導活性について更に詳細に検討した。 [方法]:生細胞数はトリパンブルー染色により、DNAの断片化はDAPI法により、アポトーシス細胞の出現はアネキシン染色(FACS)により、プロカスパーゼの切断(活性化)及びミトコンドリアからのシトクロームcの放出はWestern blotにより、ミトコンドリアのMnSODの活性はNBT/リボフラビン活性染色により、MnSOD mRNAの発現はRT-PCRにより測定した。 [結果]:コデイノンは、濃度依存的に、細胞障害活性、アネキシン陽性細胞の出現、DNAの断片化、プロカスパーゼの切断、シトクロームcの放出を誘導した。この活性は、コデインやモルヒネ6-グルクロナイドよりも強かった。コデイノンの活性は、抗酸化剤のN-acetyl-L-cysteineにより(ミカエル付加反応により)強く抑制したが、MnSODの活性・発現には有意な影響を与えなかった。 [結論]コデイノンは、鎮痛作用も有することから、そのアポトーシス誘導活性と合わせて、末期がん患者への適用が期待される。その作用メカニズムについて更に検討中である。
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