研究課題/領域番号 |
13671614
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小竹 良文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70195733)
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研究分担者 |
森田 慶久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10276983)
印南 靖志 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80296615)
武田 純三 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30101968)
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キーワード | 肝臓 / 虚血-再灌流障害 / preconditioning / 揮発性麻酔薬 / 静脈麻酔薬 / 家兎 |
研究概要 |
本年度は肝虚血-再灌流における麻酔薬によるpreconditioning効果の有無を明らかにするため以下の実験を遂行した。日本白色種家兎54羽をそれぞれセボフルラン吸入、イソフルラン吸入およびプロポフォール持続投与+鎮痛薬間歇投与による全身麻酔下に肝臓の片葉阻血60分を負荷した。各群の半数には片葉阻血に先行して10分虚血、10分再灌流のpreconditioningを行った。超音波Doppler法による門脈+肝動脈血流量、水素クリアランス方式による肝組織血流量を測定し肝血流の指標とした。さらに再灌流後3時間での血清AST,ALT,ADHおよびglalactose clearanceによる肝細胞機能の評価を行った。いずれの群でも60分の片葉阻血によって再灌流後の肝血流の低下および肝逸脱酵素の上昇が見られたが、セボフルラン、イソフルラン群と比較してプロポフォール群での再灌流後の肝血流減少および肝細胞機能の低下が有意に大きかった。一方、セボフルラン、イソフルラン群ではpreconditioningの追加による有意な肝血流維持作用および肝細胞保護作用の増強は認められなかったが、プロポフォール群においてはpreconditioningによる有意な肝血流維持作用および肝細胞保護作用が認められた。本研究の結果はセボフルラン、イソフルランにはいわゆるanesthetic preconditioning効果があり、ischemic preconditioningは保護作用の増強を示さないこと、一方、プロポフォールは有意なanesthetic preconditioning効果を有さず、短時間の虚血-再灌流によるischemic preconditioningが有用であることを示唆している。これらの実験結果は2002年10月に開催される米国麻酔学会総会において発表予定である。
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