研究概要 |
本年度は平成14年度に行った研究結果、すなわちカリウム感受性ATPチャンネル活性化は肝臓におけるpreconditioning効果には直接的に関与していないことを10月に開催された米国麻酔学会年次総会において発表した(Kotake Y et al. Pharmacological preconditioning of potassium ATP channel-opener, nicorandil, on hepatic ischemia-reperfusion in rabbits. Anesthesiology 2003;99 Suppl A-721)。 本研究では平成13年度および14年度においては、肝部分虚血-再灌流モデルを用いて、再灌流後の血流に着目してischemic preconditioningおよびanesthetic preconditioning効果を検討してきたが、本年度は好中球を主体とする炎症反応とpreconditioning効果との関連に着目した検討を新たに行った。具体的には代表者らが過去に確立した家兎を用いた胸部大動脈遮断モデルを用いてischemic preconditioningによる保護作用の有無について検討を加えた。さらに虚血-再灌流によって惹起される炎症反応と臓器障害の関連およびischemic preconditioningが炎症反応を抑制することを介して臓器保護的に作用するかどうかに関して検討を加えた。この結果、ischemic preconditioningは、再灌流後の血流低下を防止するのみではなく、虚血-再灌流によって生じる好中球依存性組織障害を抑制する作用を示すことが明らかとなった。
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