研究課題/領域番号 |
13671617
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
上園 晶一 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (10291676)
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研究分担者 |
山縣 克之 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10328461)
野村 実 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80167577)
堀田 有香子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00318148)
小森 万希子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60178332)
市川 順子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60318144)
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キーワード | 肺高血圧 / モノクロタリン / NF-κB / ラット / マウス / 片肺切除 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)片肺摘出とモノクロタリン(MCT)を組み合わせることで、原発性肺高血圧症の病態に類似した、肺小動脈の内膜増生を伴う高度の肺血管閉塞病変を有する動物モデルを確立し、(2)転写因子であるNF-κBのアンチセンスオリゴが肺血管リモデリングを阻害できるかどうかを検証する、ことである。本研究の2年目にあたる今年度で、新たに得られた知見は以下のようにまとめられる。 1.成獣ラット(週齢13週)に片肺摘出術を施行し、1週間後にMCT60mg/kgを投与したところ、3週間後には、平均肺動脈圧は、41±3.5mmHgに上昇した。コントロール群、片肺摘出術のみを行った群、MCTのみを投与した群の平均肺動脈圧は、それぞれ18±1.1mmg、19±1.7mmHg、25±0mmHgであることから、片肺摘出術を施行することで、MCT誘発の肺高血圧の程度は約1.8倍程度増強することが示された。 2.上記の各群の肺を病理組織学的に検討した。 (1)摘出術のみの群では、比較的太い肺動脈の中膜の肥厚が認められ、小動脈に変化はなかった。 (2)MCT単独投与群では、小動脈に中膜の肥厚が認められてが、内膜の肥厚は認められなかった。 (3)片肺摘出とMCT投与を組み合わせた群では、小動脈に内膜の肥厚が認められた。 3.以上の病理学的所見は、生理学的なデータである肺動脈圧とよく相関していた。 4.NF-κBアンチセンスオリゴを腹腔内投与しても、ほとんど肺血管に取り込まれない。 5.今後は、アンチセンスオリゴをいかに肺血管に取り込ませるかが課題であり、現在、大阪大学で開発されたHVJ EnvelopeベクターによるNF-κBデコイを検討中である。
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